Verbena

□◆第十二章 想い◆
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「護るなどと言っておいて、こんな傷を負わせてしまった」

『そんなこと!』

この傷は自分の未熟さ故の結果。

彼の落ち度などであろうはずがない。

しかし、レゴラスはそうは思わないらしくもう一度謝罪の言葉を繰り返す。

『レゴラス様』

自分が旅に付いていけば、今後何度も彼にこのような思いをさせてしまうことになるだろう。

ここで道を分つのは最良のことだとルリはやっと自分自身を納得させることができた。

『私の我が儘なのに、護ってくださって…』

今までありがとうございました…と言おうとして【今まで】という言葉に別れを実感して、ルリの瞳に再び涙が浮かぶ。

『旅のご無事とご幸運を…Nai tiruvantel ar varyuvantel I Valar tielyanna nu vilya …』

瞬きをした拍子に流れた彼女の涙にレゴラスが手を伸ばす。

涙を拭ったその手で彼女を引き寄せるとその額にソッとキスを落とした。

神聖な儀式のようなその仕草にルリはされるがままキスを受ける。


 
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