Verbena

□◆第十章 戦◆
2ページ/4ページ

横を見るとフロドが青白い顔をして自分を見上げていた。

そう、自分よりも遥かに重い使命を帯びている彼だって頑張っているのだ、こんな所で己に負けてなどいられない。

『大丈夫。私達は勝てます』

彼に、そして自分に言い聞かせるように呟いて微笑む。

フロドも緊張しつつも微笑みを返してくれた。



すぐに扉は破られ混戦となる。

ルリは身軽にオークの攻撃を避けながら確実に矢を射る。

崩れた壁や段差を利用して移動する彼女にオークやトロルはついて行けない。

「アラゴルン!」

フロドの悲痛な叫びが聞こえた。

そちらを向くと、彼を庇って部屋の隅でトロルと対峙するアラゴルンの姿。

手助けに行かなくては!

しかし、無数のオークが行く手を阻み思うように近付けない。

「ルリッ」

呼ばれて視線を向けるとレゴラスが自分に矢を向けていた。

状況を察したルリは素早く身を屈める。

頭上を矢が飛び、彼女に背後から切りつけようとしていたオークの眉間に刺さる。

体勢を戻してフロドの方へ向かおうとした彼女の目が今まさに彼を捉えようとするトロルの槍を捉えた。『フロド!』


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ