Primula
□◆第六章 再会◆
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祖母は度々彼ら一族の話を彼にしてくれ、その話を彼は細部までよく覚えていた。
「彼らは少数民族で、定住地を持たず中つ国を点々としているそうです」
その呼称の由来は一族の中心となる【謌の巫女】と呼ばれる存在にある。
「【謌の巫女】?」
巫女は不思議な力を歌により伝え、一族の様々なことを決定する権限があった。
ただ、巫女は歌を歌う事以外言葉を話すことを封じられているらしい。
彼ら一族の特徴は高い戦闘能力にあり、傭兵として雇われることも少なくはない。
彼らの戦闘能力は100倍もの敵をもなぎ倒すほどと言われ(多分に誇張も含まれてるが)、様々な国が彼らを味方につけようと接触を試みたり、画策しているがその多くが失敗に終っている。
彼らは欲の為には行動せず、膨大な報酬も地位にも目も向けないのだ。
「では傭兵の話を受けるかどうかの判断はどうやって?」
「巫女の判断によるそうです」
「すべては巫女が中心か…」
その高い身体能力がヌメノールの血の成すせいであるとも言われるが、彼らの歴史は定かではなく…他部族の歴史の端々に稀に登場するのみである。
ただ彼らのライフスタイルもあって野伏と間違えられることも多々あった。
彼らはあまり他部族との接触を好まず、独自の文化で暮らしてる。
「白の魔法使いは、その戦闘能力に抵抗されることを恐れたのか」
ローハンやゴンドールのような大国と組まれるよりは単独の方が相手にしやすいと判断したのだろう。