Iris
□◆第七章 坑道◆
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「行くぞ」
気を取り直して…と言わんばかりにアラゴルンは表情を引き締めると真っ先に中へ足を踏み入れた。
閉ざされた空間特有の淀んだ空気に顔を顰めながら、ルリも後に続く。
『メリー』
他の人達には聞こえないように低い声でルリリは前を歩くメリーを呼んだ。
「なに?」
『変なこと言わないでくれ。疑われたらどうするんだ』
「大丈夫だよ」
メリーは、「心配性だなぁ」とハッハッハと笑い飛ばす。
その時ギムリの雄叫び?が坑道に響き渡った。
咄嗟にホビット達を庇いながら剣の柄に手をかけるルリ。
ガンダルフが掲げた杖の明かりに照らされたそこには…目を覆いたくなるような惨状が広がっている。
坑道に地下宮殿を築いているはずのドワーフ達の無惨な姿。
あちこちに刺さっている特殊な矢の形状はオークのものだと、レゴラスが告げた。
嘆くギムリを引き摺って彼らは坑道を後にしようとした。
この道は危険すぎる!
「アラゴルン!」
サムの悲痛な叫びに坑道の中ばかりを警戒していた仲間達が振り返った。
湖から伸びた触手がフロドをつり上げている。
ルリは素早く剣を抜くと湖の中へと飛び込み、フロドを捕まえている触手に向かって斬り進んで行った。