Verbena
□◆第二十一章 闇王◆
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それ以上ルリに触るな…言外の脅しを含めたレゴラスの言葉。
三人の視線に火花が散ったかのようだった。
「君のものと決まったわけじゃないだろう、レゴラス」
「僕達にだってまだチャンスは残ってるはずだ」
「いいだろう。受けて立つ」
低い低いレゴラスの声。
双子のキスを受けて真っ赤になっていたルリはレゴラスのドスの効いた声に今度は真っ青になった。
そして不穏な空気をどうにかしようと慌てて尋ねる。
『指輪は…指輪はどうなりました?』
「指輪は【滅びの山】に投げ込まれ消滅した。フロドが目的を達したんだよ」
エルラダンが答えてくれる。
『サウロンは敗れ去ったんですね』
ルリは静かに長く息をついた。
『フロドは? 皆は無事ですか?』
「ああ、みな怪我をしているが無事…って、ルリ、どこに行くつもりだい?」
双子の制止を振り切って彼女はベッドを降りた。
ふらついた所をレゴラスに支えられる。
何故こんなにも焦るのか彼女自身分からなかった。しかし、皆の元気な顔が見たかった。