Verbena
□◆第二十章 決着◆
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「行くぞ!」
二人の決着がついたことを合図にアラゴルン達率いる連合軍とモルドール軍の戦いの火蓋が切って落とされた。
ルリは自分の腕の中に崩れ落ちた始祖の体を抱きとめる。
エルシオン自身も彼女の手も彼の血で真っ赤に染まっていた。
横たえた彼の体の上体を抱き起こして、ルリは彼の最期を看取る。
「エ…リアル…。我は……間違っていたのか……? 神に背いても……一族を裏切ってでも……お前を欲した…お前だけを…求めて……」
『……』
意識が朦朧としているか、この期にもサウロンの呪縛は解けないのか…
彼はやはりルリと自分の愛した者との区別もついていないようだ。
…それとも彼女の中に重ねた愛しい女性に語りかけていたのかもしれない。
ルリの頬を彼女のものではない感情が引き起こした透明な雫が伝う。