Verbena
□◆第十一章 別れ◆
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「ガンダルフ!!」
泣き叫ぶフロドを抱え、バルログと共に地に堕ちたガンダルフを置いて一行は辛くもモリアを脱出した。
泣き崩れ消沈する彼らを励まし、アラゴルンはロスロリアンへ向かおうと急きたてる。
『!』
立たせようとしたアラゴルンに腕を掴まれたルリは思わず声にならない叫び声をあげた。
アラゴルンはそれに驚いて手を離すと、そこにベットリと絡まる赤い液体。
「怪我をしたのか!」
『…大した事はありません』
具合を見ようと手を伸ばす彼を避けて彼女は後ずさった。
しかし待ち構えていたように後ろにいたレゴラスにあっさりと捕まる。
「矢傷だな。毒や呪いなど深刻なものでないといいが…ロスロリアンに急ごう」
傷を見たアラゴルンが危惧した通り、それはただの矢傷ではなかったらしい。
森に到達する頃にはルリの顔色は真っ青になり、息も荒く足下もおぼつかなくなっていた。
心配する仲間達に大丈夫だと言い張る彼女だったが、皆の速度についていけなくなり…
とうとう一番体躯の良いボロミアに背負われることになった。