Verbena

□◆第九章 坑道◆
1ページ/5ページ

坑道の入り口で一行は立ち往生していた。

イシルディンは暗号で開かれるようになっており、それの解読に時間がかかっているのだ。

『レゴラス様』

木に寄りかかり腕を組んで様子を見守っている彼にルリはそっと呼びかけた。

彼が振り返るとルリの瞳は目の前の湖を通り越した森に注がれている。

『何かが変です』

「何か?」

ルリはアイスブルーの瞳を彼に向ける。

『水場だというのに動物の気配がありません。水そのものに問題があるのか…あるいは…何かが潜んでいるのか…』

彼女の言葉にアラゴルンは退屈しのぎに湖に石を投げ込んでいたホビット達の手を慌てて止める。

水面が怪しく揺れていた。

「何かって…」

ボロミアが問いかけようとしたその時、ガンダルフの声と共に重い音がしてイシルディンの扉がゆっくりと開いた。

ルリ達は未だ波紋が収まらない湖の方を気にかけながらも中へ入って行く。

坑道の中は真っ暗で、月明かりに慣れていた彼らの目はすぐに順応出来ず、皆が目をこらした。

ガンダルフが杖に灯したと明かりの中に辺りの様子が浮かび上がった。同時に皆の目が驚愕に見開かれる。


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ