Duranta
□◆第十四章 相応◆
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温かな陽射しにファラミアは眠りを妨げられた。
体を動かすと全身に痛みが走ったが、耐えられないほどではない。
彼は上体を起こすと辺りを見回した。
辺りは驚くほど静かで遠くで人の声がわずかにするばかり。
今の状況を推測しようと彼は途切れ途切れの記憶を繋ぎ合わせる。
オスギリアス奪還に向かい…
兄に促され目を覚まし…
父の最期を見たのは…現実だったのだろうか。
…そう、意識を失う前、確かに彼女をこの腕に抱きしめていた。
あれは紛うことない現実だ。
「気付かれましたか?」
治療院の侍女が顔を覗かせる。
「ああ…」
どこかボンヤリとした様子のファラミアに彼女は休むように勧める。
しかし、彼には知りたいことがあった。
「随分と静かだが…戦況は?」
「アラゴルン様達が最後の戦をするために黒門へ」
ファラミアは痛む体を押して立ち上がった。
「後を追う。鎧の準備を…」