Second year
□◆第七章 参上◆
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課題に使う資料を探しに図書室にきているルリ。
ウロウロと彷徨ってみるが一向に見つからない。
背の低い彼女にとって上段の本は背表紙を見るだけでも体勢に無理があり…段々と首が疲れてきた。
『!』
あった! 心の中で叫ぶとルリは手を伸ばした。
『〜〜〜〜〜〜〜〜』
目一杯背伸びをすると指先が辛うじて本に触れるが、それだけ…。
ぴっちりと詰まった本は1ミリも動くことはなかった。
『ん〜〜〜〜〜』
「唸るな」
笑いを堪えた声が聞こえて来て、お目当ての本がスッと抜き取られた。
「横着しないで踏み台を使えばいいだろう」
『も…もうちょっとで届いてた!』
「へぇ」
シリウスは鼻でフンッと笑うと折角取った本を棚に戻そうとする。
『!!!!!????』
「素直に《そうする》って言えばいいだろ」
シリウスはそう言ってルリの頭をポンポンと叩いた。
子供扱いされてルリの眉間が皺が寄る。
高い場所のものを無理に取ろうとして怪我などしないように…という彼の優しさも今の彼女には伝わっていないようだった。
『いつもそうやってチビ扱いして』
ルリの目にジワリと涙が浮かぶ。
それに気付いたシリウスは焦って本を下ろした。
「ほ…ほら、本…」
『もういい、いらない! シリウスの馬鹿っ』
司書のマダム・ピンスに睨まれながらもルリは図書室を飛び出して行った。