Verbena

□◆第二十二章 旅立◆
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「式典には出ないのか?」

今日はアラゴルンの戴冠式。

旅の仲間や共に戦った者、国民…国中がお目出度い雰囲気に包まれていた。

参列している人々を遠くに見ているルリにグロールフィンデルは声をかけた。

彼女は振り返らずにただ首を横に振る。

「お前に課せられた宿命は見事果たした。後ろめたく思うことはない」

彼女は額に走る傷跡に指を触れる。

始祖につけられた烙印。

その美しい容貌にはひどく不釣り合いな物騒なもの。

『この傷と同様、この身に流れる血は消えません。皆が忘れたとしても私の中のエリアルとエルシオンの血が忘れさせないでしょう』

「だが、それはお前の所業ではない」

『私はかの血に連なる者です』

グロールフィンデルは溜め息をついた。

いつまで経っても平行線のままだろう。

…まったく頑固な娘だ。一体、誰に似たんだろう…。


 
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