Verbena
□◆第十九章 対峙◆
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アラゴルンの挑発の言葉に黒門が地響きと共に開き始め、彼らは一端皆の所まで戻った。
その間から吐き出されるオークやトロル。何十倍もの闇の陣営が彼らを取り囲む。
その中央には誰よりも深い闇を背負った長身の者がいた。
漆黒の髪に漆黒の瞳…漆黒の鎧、威厳と存在感を損ねることなく、闇に堕ちたとは言えその美しさは保たれていた。
しかし、何かが他のエルフと決定的に違うようだった。
身につけているものの色彩か、その身に纏うオーラか…。
そのエルフは鎧をカシャカシャと音を立てながら近付いてきた。
彼こそがルリが対峙する相手である。
「我らに楯突く愚かな者達よ、絶望の果てにもがき苦しみ息絶えるがいい」
叫んでいるわけではないのにその声に含まれた威圧感…それだけでこちらの兵達を怯ませる。
彼が言葉を発する度に味方の士気が下がって行った。
話し続けさせるのは得策ではないと判断したルリは前に出る。