Verbena
□◆第十八章 宿命◆
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アラゴルン一行が港に着いたとき、ペレンノールでの戦いは激しさを極めていた。
ドゥネダインや亡霊兵達はすぐさま危機に陥っているミナス・ティリスの防衛に向かう。
ルリもエルラダン達と共に蛮族と対峙していた。
「ルリ、無理をするな。僕達の後ろにいろ」
エルラダンが弓を引きながら彼女に声をかける。
『大丈夫です、私だっ…』
反論の言葉が途切れる。
エルロヒアがルリの腕を掴んで引き寄せたからだ。
ヒュンッと音がして彼女がいた場所に矢が刺さる。
【じゅう】の上から敵兵が彼女を狙っていた。
「どこが大丈夫だって?」
エルラダンが素早く相手を仕留めながら笑った。
「レゴラーーース」
突然、エルロヒアがオークに切りつけているレゴラスに声をかけた。
「賭けをしよう、敵を一番多く仕留めた奴が勝ちだ!」
レゴラスは矢筒の矢に手をかけながら怪訝そうに眉を寄せた。
何を言い出すのかと思えば…。
「何を賭ける?」
言いながらも矢尻でオークの喉を裂きながらレゴラスは別のオークの攻撃を軽い身のこなしで避ける。
「「ルリのキスだ!」」
『えっ!? ちょっと』
いきなり当事者にされたルリは驚いて思わず硬直する。
「乗った!」
レゴラスからも信じられない返答。
『レゴラス様っ! エルロヒア様、エルラダン様っ!!』
抗議の彼女の声もエルフ達は聞いちゃいない。
嬉々としてオークや蛮族の中に飛び込んで行った。