Verbena
□◆第十七章 血◆
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「なぁ…」
亡霊兵を従え、ペラルギアにて敵艦隊を捕獲した一行はミナスティリスへ向かっていた。
その船の上でギムリは斧を磨きながら側でパイプ草を吹かすアラゴルンに声をかけた。
「ん?」
「闇に堕ちしエルフって何のことだ?」
アラゴルンはどう答えればいいのか返答に困って煙をゆっくりと吐き出した。
エルフの間ではタブーとされている話だった。
興味本位で話すには躊躇われる重過ぎる話。
しかも当の本人が近くに居るのに軽々しく口にするのは憚れる。
ギムリはアラゴルンの視線を追って、彼の気遣いを察した。
「確かにオレはエルフは好かねえ。けど、ルリは友達だと思ってる。これでも心配してるんだ」
アラゴルンは船主でボーッと海を眺めているルリを見つめた。
そして真剣に自分を見るドワーフに視線をうつす。
「…人がまだ若く、エルフが力を持っていた時代だ」
少しの沈黙の後、彼は語り出す。