05/29の日記
22:51
手の平に収まる思いH
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閃にょし続きです。
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涙で濡れた良守の唇だったが、閃にはとても温かくて柔らかく感じた。胸も秘部も温かく柔らかいと思っていたが、良守の唇が一番だった。そしてずっと高かった胸の高鳴りや鼓動も、今が一番だ。
先ほどまでは興奮だった気持ちが、今は緊張に変わっていく。
胸を揉むよりも、秘部を愛撫するよりも先にするべき愛情表現であるキス。閃は言葉の代わりにキスで良守に自分の気持ちを伝えた。
「はっ……か、げみや?」
唇を離すと良守はずっと流していた涙を止めて、顔を真っ赤にして閃をどうしていいか分からない顔で見つめる。閃も閃で何を言ったらいいか分からない。良守の手首を握っていた手を離して良守をきつく抱きしめた。
「影宮…い、たい…」
痛がる良守を無視して閃はなおも良守を抱きしめる。傷つけてしまったことが悔しくてしかたがない。男として好きな女の子は守りたい。なのに閃は良守を酷く傷つけてしまった。後悔ばかりが募る。
胸が締め付けられる。この締め付けから逃れるためには一つしかない。信じてもらえないかもしれないが、閃はもっとも始めに伝えられなければならない言葉を言うために固く閉じていた口を開いた。
「好きなんだ……」
「え?」
「俺…良守のことが、好きだ…」
「……え…」
震える声で閃は漸く自分の気持ちを伝えることができた。本当はこんな形でなく、きちんと向き合って、目を見て良守に伝えたかった言葉。形は変わってしまったとはいえ、ずっと言いたかった言葉を言い、閃の心臓が破裂しそうに高鳴りドクドクする。
「う、そ…」
「嘘じゃない。ずっと前から好きだった!」
抱きしめていた良守の体を離し、閃は向き合って、信じてくれない良守にまた好きだと伝える。だが良守は首をぶんぶんと横に振って信じなかった。
「嘘だ!だって、じゃなきゃ、普通好きな子に無理矢理、あんなことっ…!」
「それは本当に後悔している。でも好きだから…良守が好きだからもっと触れたくて、もっと良守のこと知りたくて、だから歯止め効かなくなって…あんなに酷いことやったけど…俺は……」
好きなんだ。そう閃は良守の目を見つめて自分の気持ちを再度良守に伝えた。自分でもわかるぐらい閃の顔は火照り、火が出そうだった。そんな閃に対して良守の顔も同じように赤く染まっていく。
口を半開きにして目をぱちくりさせる。嘘だと思っていた閃の告白を本気だと分かり、恥かしくなっていったのだろう。
「良守…あんなことした俺のことなんか嫌いだよな?」
「えっ…」
「俺は返事が聞きたいんだ…俺は良守が好きだ。良守の気持ちも知りたい…」
視線を離さず、閃はじっと良守を見つめ続けた。だがその視線に良守は絶えきれなく、そしてどうしたらいいか分からず視線を下に向けてオロオロし出しす。
そんな良守に対して閃は離していた体をもう一度抱きしめるが、今度は優しく抱きしめた。
ビクリと体を反応させる良守だが、閃は焦らずただギュッと抱きしめたまま良守の言葉を待った。
「あ、あ、あの…俺……お、俺…あんなこと、されてすっげ、痛かったし、怖かった……影宮も怖かった…でも、今の影宮は、怖くない…」
怖いと言われ、ズキンと閃の心が痛んだが、今は大丈夫と言われ安堵した。だが閃は少し良守を抱きしめる力を強めて、「ごめん」と心の奥底から謝る。すると良守は「もういいよ」と少しだけ笑った声。普段からでも優しい良守だが、本当に優しいな、閃は思った。
「そ、それで…俺、影宮にすすすす好きって言われて、その…あの……俺、なんというか…よく分からない。でも、なんか体が熱くなって、気持ちがふわふわした」
「それって…嬉しかった、って受け取ってもいい?」
抱きしめていた体をゆっくり離して閃は良守とまた向き合う。良守は俯いたままだが、「そうかも…」と顔を真っ赤にして頷いた。
閃の胸の鼓動が早くなっていく。
泣かせてしまったときは嫌われたかもしれないと思ったが、違う。目の前にいる大好きな人が愛しくて堪らない。
閃はそっと良守の頬を両手で挟み、顔を近付けた。
「良守…キスしていい?」
閃が尋ねてから十秒後。やっと頷いてくれた良守に閃は優しくキスをした。
続く
09.5.29up
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文章グダグダorz
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