いとしいあなたに幸福を
□10 蒼穹-そうきゅう-
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「あいちゃん、いつもとーしゃまみてる」
「えっ…」
「とーしゃまみてるあいちゃん、うれしそう」
自分を見ている愛梨が、嬉しそう?
「…愛ちゃんは、その散歩の際に京様から母様と呼ばれて…泣いてしまったんです」
京の言葉に困惑する自分を見兼ねたように、咲良はそう言った。
「泣いて……何でだ?」
「京様が慕ってくれるのは嬉しいけれど、都様に申し訳ないって…あの子はそう言ってましたわ」
「都に申し訳ないって…どういうことだよっ…!」
思わず声を荒げると、腕の中で京がびくりと震えた。
「とーしゃま、おこってる…?」
「あ…ああ、怒ってないよ」
やんわりと言い聞かせてやると、京は周の胸元にぎゅう、としがみ付いてきた。
「…愛ちゃんは、もうすぐ周様が此処にいらっしゃるから、隠れてしまったんですの」
「だから、何で…」
「今の気分のままじゃ周様と顔を合わせられないって」
京に母親だと勘違いされて、慕われてるのは嬉しいけど都に申し訳なくて。
それで泣いてしまったから、俺の顔が見られない?