その他長編
□この胸いっぱいの愛を
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『この胸いっぱいの愛を』第弐話
#name#が居ないのに気づいたのは、職務を終え、夜もふけた頃だった
#name#が具合が悪いとの事で医者に頼み席を外したはいいが、直ぐに戻るつもりが、溜まりにたまった仕事をこなすうちに遅くなってしまったのだ
そう思いつつ急ぎ#name#の部屋へ向かう
「#name#?俺だ。すまない遅くなってしまったな。」
#name#の部屋の前で暫く待つも返事がない。
もしかして寝てるのか?
まさか、具合が悪すぎて倒れているのでは?
心配になった俺は戸を開ける事にした。
「入るぞ」
遠慮がちに開けたそこには、思っていた光景はなく…
綺麗に片付けられた部屋、畳まれた布団。まるで生活感の無くなった部屋がそこにはあった
「どう言う事だ?」
焦りながらヅカヅカと入った部屋で俺は机の上の手紙に目が行く。
「俺に宛てた手紙…」
手にとって、目を通すうち
書かれていた文に焦りの色が隠せなくなる
宗茂様
急に姿を消すことお許し下さい。
私は宗茂様をお慕いしています。
たがら、さようなら。
#name#
「#name#………いったいどういう事だ。」
手紙を力一杯握りしめた俺はその場に立ち尽くすしかなかった。
#name#とは、主と家臣だ。だか、俺は#name#を愛していた。正室はいる。大事にも思っている。だが、それは家族としてであって、愛とはまた別なのだ。
「#name#…俺が愛しているのは、お前だけなのに。何故。」
次の戦が終われば側室として迎え入れ、俺の子を産んで欲しい。
まだ伝えてこそいなかったがそう思ってもいた。なのに
いかなる時も冷静で余裕すら見せるのにな…俺とした事が。
ふと、我にかえり直ぐに家臣を呼び、早急に#name#を探すよう伝える
「そう言えば…体調が悪いと言っていた…」
何か……ある…のか?
医者に聞けば早いが…
生憎、医者は今、ギン千代の城だ
疑問に思いながらも、今は#name#を探す方が先だと、自分自身も部屋を後にした。
参話へ続く