その他長編

□ある日の話
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『ある日の話』




どんなにあがいても、どんなに思っても、叶わない事だってあるんだと教えられた日だった。



ずっと二年間、同じクラスで、ずっと眺めていた彼。気づけば隣の席にいて、気づけばよく話すようになっていて、気づけば好きになっていた。


そして気づけば片思いのまま二年近くたってしまった。





そんな彼に、




「私ね…。夜久君の事、好きだよ」




ある日告げた『好き』の二文字の言葉は



「ありがとう#name#。






けど…俺、彼女いるんだ。」






報われることはなく終わった。



彼女がいる事を知っていて、告げたから


分かっていた事だから



涙は出ないと思っていたのに。




夜久君が去った教室で、声を殺して泣いた。誰もいない教室で。






しばらく泣いて、流れた涙を拭きとって、教室を出た。


もう、誰にも会いたくないと思って飛び出した私の体は、教室を出てすぐに誰かに腕をつかまれて、ドンッ――と言う鈍い音と共に壁に背中を預けることになる。


誰がこんなこと――と顔をあげれば、それはよく知る人だけれど、まだ、親しいとは言い難い人物で



「っ!?黒尾…君っ?」



「おい、目ぇ真っ赤じゃねぇーか。…ったく、夜久の奴…」



「なッ!?なんで知ってっ!?」



「あ?んなの、聞いてたからに決まってんだろ?」



顔がぐちゃぐちゃで目が腫れてしまってることよりも、あの人生最大の事件を終始目撃されていた事に何とも言えない感情がわき出てきた。



「えと…そのっ…これは…」



言葉にならない言葉をパニックになった脳みそで発言するも上手くいくわけがなく、ただただ言葉を発する。


そんな私の唇に黒尾君の唇が強引に重なって




「んっっ!!?」




「ンっ・・・・。







なぁ、#name#…俺にしとかねぇか?」




私の頭は容量オーバ―でパンクした。
















ある日の夕暮れの話。














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