その他長編

□この胸いっぱいの愛を
3ページ/17ページ



『この胸いっぱいの愛を』第参話





「#name#!久しぶりだねぇ?元気にしてた?ご飯はちゃんと食べてる?なかなか文が無いから心配してたんだよ!」




大阪城に無事着いた#name#は何だか、前より広くなった大阪城をさ迷い歩いていた



すると、向こうから足早に来た見慣れた女性が#name#を見つけ、これでもかと包容し今に至る。






「ぁのっ…おねね様…苦しっ…。」






「あっ、ごめんよ、#name#。つい嬉しくてさぁ!」





「ぃえ。歓迎して下さり嬉しい限りです。」





「で?文もなしに急に大阪城にどうしたんだい?お前様に呼ばれたの?」





抑えきれない喜びと共に沸いてきた疑問を#name#に伝えるねねは、そっと#name#の顔を覗き込む。



喜びも束の間、現実に戻った #name#は、お腹に手をやりつつ、不安げにねねを見た。





「その事なのですが、秀吉様も一緒に聞いて頂きたいのです…」






持ち前の母性本能で何かあると察したねねは直ぐに部屋を用意し、秀吉を呼ぶ事にした。





























「そうか!めでたいのぅ!しかし、わしが訪ねぬ間にお前さんと宗茂がその様な仲になっていたとはのう!」





秀吉の頼みで九州の様子を伺いに滞在していた#name#。

ただ、大事な養娘とあって様子を伺いに行く事が多々あった秀吉だったが、ここ一年、忙しさのなかそれができずにいた





「そうだねぇ!ビックリしたよ。けど…宗茂に知らせないままでよかったのかい?」





事の一部始終を二人に話した #name#はねねの問いかけに一瞬目を伏せるも、決めた事だからとむきなおり言葉を返す。




「はい。宗茂様やギン千代様のご迷惑になるなんてできません。けど…授かった命です。それに、身勝手かもしれませんが、愛する人の子を産みたいんです。」




その言葉にねねねも秀吉も
久しぶりにあった成長した我が子に微笑みがもれる。




「あたしは、お前様との子供を授かれなかったけど、#name#を含め、沢山の可愛い子に恵まれた。子供を育てるのは大変だけど、凄く楽しいよ!それに、おばぁちゃんになるのもいいじゃないか!ねぇ、お前様!」




「そうじゃのう!よし! #name#、これからはまた大阪城で暮らせ!わしが面倒をみてやる!」





「秀吉様…おねね様…っ。ありがとうございます!」




#name#は、勝手な振る舞いだと知りつつも許し、優しく向かえてくれた義理の両親の心強いに涙し心から感謝をした。




「けど…困ったね。#name#のお腹が大きくなれば、当然、父親の噂が立つ…父親が分かればやっかいだねぇ」



ふとねねの言葉に三人はまた、考え込む




「城内の好奇の目が#name#に行くのは否めぬのう…。」


そう、噂好きの女中あたりが、 #name#のお腹の父親をめぐり、父親探しをしかね無いのだ…


「大丈夫です!そのくらいの噂、気にしません。」


「そうはいかないよ….#name#に負担があればお腹の子にもよくないんだよ。とは言っても避けられないね…。」





そう言って、ねねは#name#のお腹にそっと手を当てた。




「何か、父親探しを撹乱させる手はないかねぇ。お前様?」




ねねの言葉を受けて秀吉が暫く考える。



「そうじゃ!#name#。わしら家族と共に住まんか?」





そう言って、秀吉が提案したのは、大阪城から、少し離れた屋敷に三成、清正、吉継、幸村が今居候中との事で、そこで共に暮らすと言う提案だった。




「おねね様と共に過ごせるのは嬉しいですが、何故殿方ばかりの中に?」




「共に暮らせば、その中で父親探しがおきるじゃろうて、正に我が家は目を欺くのにもって来いじゃ
!」



秀吉曰く、共に暮らす→お腹が大きくなりやや子判明→父親はこの四人の中に。好奇の目が四人に行く



と言う事らしい


「それに、三成や清正は知った仲。気楽にやれよう!」



「さすがお前様!面白いから、四人には、本当の父親は内緒だよ♪良かったねえ!#name#。」




「あっ。はい。(えっ?おねね様…最後の爆弾発言は?)」






一見落着と嬉しそうにする二人をよそに、一抹の不安はあるものの感謝こそすれ文句など言えない#name#は頷くのだった。








四話へ続く
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ