涙が流れたよ。とにかく涙が流れた。
ぼんやり嫌な事を思い出したら案の定こんなことになってしまったから悩みが尽きない。
「何とかしてよ銀ちゃん」
「無理」
「カス」
「おやすみなさい」
視界いっぱいの天井。何だこれ、すごく寂しいんですけど。俄然涙止まんないんですけど。
隣の銀ちゃんは布団と合体して熊になっている。ひどいよ。気付よ。
「おい何泣いてんだよ」
「分かったの」
「お前ぇ、鼻水の音量考えろよ」
とかなんとか言って冬眠から醒めてませんよ坂田さん。嗚呼ひどいひどい。めんどくさいとか思ってんでしょうよ。
「めんどくさいとか思ってるって考えてんなら、それは正解だからな」
両手で顔に覆い隠して悲しみに浸る。涙も鼻水も止まり、しばらく浸ったあと、私は小さな諦めを覚えた。この状況にじゃない。彼にだ。
眠ろう。悲しい別れ話はそれからだ。と思った時、隣の熊が動き出した。動き出してそのまま寝ている私をぎゅっと抱き締めてくれた。
「銀ちゃん、私のこと好き?」
「好きだよ」
「もうだめ私も好き」
「寝ろ寝ろ」
やらしい気持ちになったのは内緒。
微睡み音階愛してる