｢そんなあんたが大嫌いだよ｣

そんな事を彼女が言うもんだから俺は戸惑って、こう言っちまいやした。俺もって。こりゃア、いけねェや。彼女が何で俺の事を嫌いと言った理由なんて分かりやァしやせんが、どうせ奴だって俺の愛情表現に堪えられなかったんでしょう。所詮あいつも廓にいる女浪と一緒でィ。優しくされなきゃこれっぽっちもなびきやしねェ。世の中柔な女が増えたもんでィ。やりにくくて仕方がないでさア。

｢それで、隊長。その後？｣

その後？嗚呼、勿論奴は捨て台詞を言った後直ぐに俺が追い掛けてぶっ飛ばして連れて帰ったに決まってらァ。嘗めるなよ。奴は泣いてやしたがね、かえって躾がいがあるってもんでイ。

｢結局、隊長はあの人が好きなんですよ。全く迷惑な話っていうかなんていうか。いつも嫌いだとか言われると俺たちに八つ当たりなんだ。副長も気をつけた方が身の為ですよ｣



ガキですから
或る監察の報告