「がつがつするの、よくない」
「うるせえよ」
バスルームで水浸しの二人、私と静雄君。がつがつ、がつがつ、彼の自宅に入った途端に私を中に押し込みキスをしてきて、そのまま流れに身を任せ後退していけばバスルームにたどり着いてしまった。
私の手が蛇口に引っかかり、シャワーが噴出して今に至る。ばつが悪そうな顔をしている静雄君は頭をがしがし掻いてから溜め息を吐いて言った。
「…とりあえず、飲みもん買ってくるわ」
「はあい。服、勝手に借りてるね」
がしゃんと扉を閉めて静雄君は飲み物を調達しに行った。髪の毛濡れたままで、いいのかな。とりあえず静雄君のシャツを借りて、テレビをつけてからベランダで涼んでみる。
ぼんやりと空を眺めて、さっき食べたチキンを思い出す。おいしかったから、お持ち帰りすれば良かったな。
「風邪引くよ」
肝が冷えた。たった今、後ろから抱きしめられ私に声をかけてきたのが静雄君じゃないからだ。
「臨也、何でいるの」
「愛?だよねえ」
常駐する闇