High Time

□過程
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早朝のマックに行き倒れているのは私だ。足元には擦り潰れたポテトが転がっているが、今は気にしない方向で眠る事にする。

「おい」

店員が私を呼んでいる。まだ来てから10分も経ってないよ。何か不味い事でもしたんだろうか。でも今顔を上げるのは、なるべく避けたい。化粧が多分、大変なことになってる。鏡で確認してないけど、何となく「やばそう」というのが分かる。

「寝てるのか?」

このままシカトしていたら立ち去ってくれるかもしれない。ひどい顔を見られたくない以外に、顔を上げたくない理由は他にもあった。

この私、オールでクラブの帰りなのだ。帰りと言っても、帰りたくて帰ってきたわけじゃない。酔いもいい具合にまわってきたところでクラブにとんでもない奴がやってきた。

次々に物を破壊し、沢山の重たそうな機械を素手で持ち上げ投げまくる。そんな化け物みたいな奴が侵入してきてクラブは大騒ぎ。そこから逃げようとした私は突然、イケメンフードの男に捕まってしまった。

気付けば目の前には化け物。しかし、よく見ると、この人も中々のイケメンだったので、化け物とか言っていた事を少し反省した。

「シズちゃん、そのミキサー投げてみれば?この子で強度を試してみるのも有りだよ」

「え、…え!」

「てめえ、臨也その女を退けろ。ぶっ殺すぞ」

「だからあ、この子ごとどうぞ?」

イケメンフードは相当な性格の持ち主なようで、私を盾にしか思ってないようだった。どうする私。これって危機一髪な状況だよね。化け物もとい、イケメンパツキンは片手で持ち上げている何かの機械を地面に置き、私の方に近づいてくる。大変だ、八つ裂きにされるのか私。

「すまねえ」

イケメンパツキンが、そう小さく呟いたのを最後に私は空手チョップを脳天に食らい意識を閉ざした。

気がつくとクラブの入り口前に私一人が置き去りで、夜も明ける時間になっていた。そして今に至る。一日にして波乱万丈の私、おつ。


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