彼女が泣いている。急いで追いかけなくちゃいけないんじゃないのだろうか。けれど、僕が今彼女がを追いかけて何がどうなるって言う。もしかしたら彼女を余計泣かせてしまうかもしれない。余計に落ち込ませてしまうかもしれない。
「やっぱり駄目だ」
いや、でも待て。よくよく考えれば彼女がどんなに泣こうが、どんなに落ち込もうが僕には知ったこっちゃない。彼女が好きなんだ。だから追いかけたい。理由は出来た。彼女が走っていった道程を追いかける。
「見つけました」
「か、河合君。どうしたの」
座り込んでいる彼女の前に僕も視線を合わせるべく座る。
「ねえ、どうしたの河合く、」
彼女の唇は少し塩っぱい味がする。それでも、これが彼女の唇なのだと思うと何か満たされた気がした。気付けば彼女はさっきよりも泣いていた。構いやしない。
「やめて、やめて」
「どうして?」
「恥ずかしくて死んじゃう」
「じゃあ一緒に死にましょう。でも、その前に」
君と愛しあっていたいよ。
僕のもの