High Time

□斜め左から
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昔からのこと。たまに自分のしていることを悔いることがある。でもそれはほんの一瞬で、すぐにそれらしい理由が頭に浮かんで悔恨の念は消えていく。

「上の空だな」

壁に背中を預け、バラエティー番組に夢中になっている内にいらぬことを考えていた。あいていたらしい口を急いで閉じクッションを抱え直す。見ていたはずの番組は次の番組に切り替わっていたらしい。気付かなかった。先に布団に入り眠っていたはずの静雄君は、まだ起きていたのかこちらを見ている。

彼のその眼で見つめられると、何だか自分はいたたまれない気持ちになるのだ。彼といればいるほど、柔順すぎるほどに一途で、時々困ることが多くなった。疎ましいわけじゃない。嫌いなわけでもない。ただ、ちょっと、やりづらいと思うことがある。

静雄君は本当に、本当の本当に私のことが好きなのだろうか。これによって日々私が行っていることが悪くて嫌なものになる。でも、きっと彼は本気じゃない。口では沢山の愛を囁いてくれるけど、表面に出てきた途端それが白々しくみえる。恥ずかしくなる。私がおかしいのか。おかしいのかもしれない。

「涙が出そう」

「どうしたんだよ」と言って、私を抱きかかえる彼を誰か誉めてほしい。

こうしてくれた人が、もう一人いた。そいつは誰にも誉められることはないだろう。



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