こいのうた

□おうしざのきみへ。
2ページ/5ページ

「mojiretsu531.ShiranaiIto〜文字列」

この文字列を
維持し続けたいと
頑なに言い張ったのは
これが貴方との
さいごのさいごの
繋がりであると
思っていたから。

もしかしたら
貴方から。
一言でもいい。

強いて言うなら
糸電話の糸。

電波に乗って
届くんじゃないかと
期待する鼓動に溺れて
窒息してしまいそう。

砦は残しておくもの。

そうでしょう?

今こんなにも
人と人が
繋がりやすい
世の中で
貴方を手探りで
捜す事も出来ない。

貴方に置いていかれて
世にも置いていかれ。

砦は二度崩れて
また貴方の知らない
型になる。

それでも
貴方に会いたい。
それでも
あなたに恋い焦がれる。

今思い出す貴方の言葉。

文字列に
糸に
託さなかった
貴方の言葉。

鼓膜を震わす。
空気を震わす。

まだ私達が
文字列に
並ばなかった
あの時の事。

秋の日の夕暮れ。

もう一度。

それを願う。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ