こいのうた

□ぼくらのこい。
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「ほのおのはな」

この花火が僕を責めた。

何故瞳を逸らしたのかと。
何故追いかけなかったと。

生まれては消える。
刹那の輝き
静かに
この瞳に
火傷を負わせる。

毎年夜空の下
炎の欠片の数だけ
君への謝罪を
繰り返す。

ごめん。
ごめん。
ごめん。

その手を諦めて
ごめん。

この花火が私を誘う。

あの人に助けを乞えと。
あの人の胸で泣けと。

産声は吹き飛ぶ。
心音の様に
厳しく
この耳に
居座り立ち去らぬ。

毎年闇に紛れて
震える大気の中
貴方への謝罪を
繰り返す。

ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

貴方を想い
ごめんなさい。

今宵も最後の花が咲く。

今年も最後の花が散る。

零れる涙と共に散る。

この花火が僕を責めた。
この花火が私を誘う。

けれども僕は。
けれども私は。

相も変わらず。
相も変わらず。

零れる涙と共に散る。
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