いろのうた
□むかしばなし。
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「焦れ香」
その色が
焼き付いて焼き付いて。
こんな風に醒めるなら
夢なんぞ見なければ
よかったのにと。
己を恨み声を潜めた。
あの人を想いながら。
こんな風に壊れるなら
夢なんぞ
与えてくれるなと。
神を憎み声をあらげた。
あの人を思いながら。
煙管からこぼれ落ちた
燃え屑が
知らぬ間に
畳を焦がす薫りを
嗅ぎながら。
月も隠れた闇の中
その色が
焼き付いて焼き付いて。
己を恨み声を潜めた。
あのひとを想いながら。
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