いろのうた

□いろまち。
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「色の街」

五つでこの世の
迷い子となり
踏入れた色の街。

賽の河原の石の様に
積み上げても
積み上げても
一向に見えぬ
菩薩の笑み。

スミレ
菫の華の姉さんに
私が私を演じる事を
教わった。

滑稽な喜劇の
主演役者。
化かし化かして
今宵満足。

吐き出す濃霧。
色濃く白く。

色彩溢れる楽園は
年中桜が咲き乱れ
年中楓が散り乱れ
女達が乱舞する。

殿方御機嫌如何?

七つでこの声の
意味を知り
耳を塞いだ色の街。

銭の塔に目もくれず
募らせても
募らせても
共に歩めぬ
桜並木。

アザミ
薊の華の姉さんの
月夜に走る背中がまるで
蝶の様で。

孤独な悲劇の
花形役者。
惑わし惑わせ
舞よ毎夜。

摩り切れた糸。
猶痛く赤く。

色彩溢れる楽園は
年中蝉が哭き乱れ
年中雪が振り乱れ
女達を愛撫する。

殿方御機嫌何?

色彩溢れる楽園は
年中桜が咲き乱れ
年中楓が散り乱れ
年中蝉が哭き乱れ
年中雪が降り乱れ
女達が涙する。

水仙の名を貰った私は
この街で今宵も
静かに静かに微笑む。


殿方御機嫌如何?
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