いろのうた

□いろまち。
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「百花繚乱」

痛みに啼くこの身体が
歌い上げる鎮魂歌。
貴方には聞こえたかしら?
流れる涙は
命の化身だと
貴方は思いもしないでしょう。

此処は決して楽園では無い。
錆び付いた鉄格子。
不釣合いな大理石に
蔓延る苔の上に
規則正しく滴り落ちる
雫のめとろのーむ。
永遠の牢獄という
甘美にも感じる名前を
笑いながら叫び続ける。

嵐の前触れ。
高まる温度。
そして。
百花繚乱。

この舌で
溢れ出す嘘を舐めあげる。
この喉で
流れ出す夢を飲み干す。

百花繚乱。

華は風に身を任せ
力尽きて枯れゆく。

そう。
実を結ばずして
枯れ果てる。

百花繚乱。

牢獄で命の限り咲く華が
無数の風に弄ばれ
乱れ乱され
枯れてゆく。
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