うらみち

□狂い咲き
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『ま、待って。カカシ、い、行かないで。』



よろめくユイナがオレの足元に倒れる。


そりゃそーだ、さっきスゴイシたものネ。


腰抜けちゃってる?




床の上で、カノジョを乱暴に扱った。


イタイ、ヤメテと叫ぶ彼女を。


背中が擦れて、血が滲もうと、


決して止めずに、更に足を持ち上げて。


狂ったオレをぶちこんだ。


たっぷりの時間とアイジョーを掛けて。



アア、思い出しただけで


腹ン中から湧き上がる


この激情をなんて呼ぶ?





「チョット、遅れるし。」


倒れこんだまま、オレの足に


絡みつくユイナを


うざそうに睨みつける。


遅れそうなのは本当。


ウザイのは嘘。


必死にオレを止めようと


泣きじゃくるアンタを


もっともっと、見ていたい。


『ま、って。お願い、別れるなんて、ウソ、ウソでしょ。』


フフ、ウソだーヨ。


ウソに決まってる。


ユイナを手放すなんて


オレが写輪眼捨てる位ありえない。


ケレド、口に出さずにはいられない。


「シツコイ。アンタなんか、イラナイ。」


そう告げたオレは死刑宣告者。


アンタの顔がぐしゃりと歪むのを


楽しく眺める傍観者。


『や・・・っ!いや、カカシ!私のこ、と、捨てないでよぉ!』


アア、もっと泣いて、叫んで、


オレだけのユイナだと


何度も何度も確認させて。


疼く体に鞭打って、未だ足に絡みつくアンタを


邪険にシテ玄関へと向かう。


「アンタみたいの、他にもたくさんいんのヨ?もう用済み。」


唯一踵を掴んでいた最後の指を


しゃがんでツイ、と払った。


靴を履くオレに今度は


背中からしがみ付く。


今日はしつこいナー。


ゾクゾクする。


口元は釣り上げて、声のトーンは


だるそうに下げた。


「離せ、ユイナ」


『いいの、カカシの視界に写るだけで・・・、私、幸せだから、だから』


お願い、また私を抱きに来て、お願い。


喉元に込み上げる狂った笑いを


氷のような冷たさで抑えて。


振り向いたオレはアンタを射殺す。


「そんなにオレがスキ?」


見下すように、見下ろして。


アンタを一生、オレの奴隷に。


『スキ、好きなの。愛してるの。』


玄関にペタリと座り込むユイナの


艶かしい程色づく足に


今夜も狂華を咲かせてやろうか。



クッと口布の奥に笑みを湛えて


「アンタ、愚かでエロくて、」


コロしたい程、愛しいヨ。


外に視線を向けて重く冷たいドアを閉める。


視界の端、閉まりかけたドアの向こう、


オレを見上げて座り込む


孤独なアンタの瞳が、


身震いする程に


怪しく濡れたのを


オレは見逃さない。







アア、今夜も狂い咲く。

契りを交わして何度も何度も。

吐き出し吐き出し、吸い込んで。

アンタのその哀願する瞳も

オレを必死に求める腕も

全部、オレだけのもの。










白い肌に色づく華が

今夜もオレの胸を狂わす。









end.
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