ぶん

□記憶を辿れば君が〈4〉
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「さっき、ホントにごめん。」


あの女のコト、止められなくて。更にしゃべろうとして、やんわりと彼女が止める。

もう、いいのって優しい顔で。それでもオレは泣かせてしまったコトが申し訳なくて思わずニナの手を強く握り締めた。


「ア、アスマとさ、何話してたの。」


そういえばと思い出して小さく呟くと、ニナはえ、とオレの方を覗き込むように顔を向けた。そしてフ、と笑う。なんか、恥ずかしい。


『ナイショだよー。』


ええ!?
ニナの方を見ると満面の笑みが返ってくる。月明かりがふんわりとニナに降り注いで、その笑顔がとてもキレイだった。

あの頃と同じような笑顔、しゃべり方、仕草、でもはっきりとわかる、オトナになったんだって。

胸から聞こえる鼓動の音が、うるさい。



「ね、ニナ。」

ニナの家が近くなってきて、歩みを思わず遅くしてしまう。


『なあに?』


ニナがオレのカオを覗き込んだ。


「オレ、ニナにいっぱい、話したいこと、ある。」


彼女はうん、とゆっくり頷いた。


「ニナを"あの時"突き放してしまったコトとか、その後オレは凄く後悔したコト、とか。」


ニナは黙っていた、黙ってオレを見つめてた。オレはつま先から少し先の地面を見つめて、ゆっくり、話した。
思い出すように、噛み締めるように。


「暗部でのコト、とか。それと・・・ニナを、亡くしたと思った日のコト、とか。」


歩いてたニナの足が、止まった。それに釣られてオレの足も歩みを止める。ニナを見た、その目を。哀しげに囁くその瞳を。


「ニナのいた施設のコト、知って。知るの遅くて。ずっと苦しかった。ニナを失って、それでもまだ生きている自分が。」


許せなかった

言っていて止まらない、また苦しさがこみ上げてくる。彼女を失って、ずっと怖かったんだ。
自分勝手な自分が何よりも憎くて、暗部に居た頃は酷い扱いをして自分を痛めつけた。


『ごめんね、カカシ。』


昔のように、その名を呼ばれた。
ニナは悲しげに切なげに、オレの手をぎゅうと握る。反対側の手がそっとオレの頬に近付いて、そのまま優しく撫でた。

カカシちゃん、ともう一度呼ばれた。
その呼び方は、幼い頃のそのままで、まるで昔に戻ったみたいだった。





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