ぶん
□記憶を辿れば君が〈2〉
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たいした内容じゃない任務を、敢えて馬鹿みたいに時間を掛けて終わらせて(といってもその間のオレは本片手にぼーっと考え事してたダケ。)その場で解散。
報告書もアホみたいにいつも以上時間を掛けて書いた。
受付けの通常の締切時間ギリギリに行って報告書を提出する為。
(会いたいのか、会いたくないのか…中途半端。)
受付けにはイルカ先生だけしか残っていなかった。
一瞬、ほっとした。
しかしそんな自分が情けなく。
なんとなく気になって、
さり気なく聞けたかどうか疑問が残るが、とにかくイルカ先生に
「ニナさんは、」
と聞くと、資料を仕舞いに行ってますよと笑顔で返された。
「そのまま帰っていいと告げてあるので…ここには戻らないと思います。」
とも言われる。
オレは見透かされた気がして、別に興味ないんですけどネとでも言うように
あーそうデスカ、とそっけなく答えた。
ほっとしたような、
残念なような。
どっちなんだよ、オレ。
悶々としながら部屋を去ろうとした時、
「ニナさんと、お知り合いなんですよね。」
脈絡もなくイルカ先生がそう言った。
オレは、くるりと背を向けてその場を去ろうとしていた足を止めて、イルカ先生の方をチラとだけ、見る。
表情から言って特に裏は無さそうだ。
にこにこと笑っている。
「えェ、まあ。それが何か?」
さらりとそれだけ言った。
冷たい言い方には、これ以上詮索するな、と暗に含んでいるのは明らかだ。
けれど鈍いのだろうかこの中忍は、尚も続ける。
「昨日の、見ていたものですから…。お知り合い、と言う割にニナさんに気付かなかったんですね。カカシさんは。」
笑って言いやがる。
…一体何が言いたいんだこの男は。
目の前でニコニコと笑っているように見えるが、実は裏があるんだろうか。
今イチ、この人の笑顔は掴みにくい部分があってあまり近寄りたくないと思っていた。
「ハァ。ま、随分昔の知り合いだったんデ。」
それじゃ、と会話を打ち切ってその場を去ろうとした。
もう話す必要なんてない。
午前中のこの男の、ニナを見たときの頬の赤さを思い出してなぜかイラついた。
早くしないとニナに追い付けなくなる、
そしてオレはなぜかそう考えていて。
今朝の態度と矛盾してるじゃないか、というかニナに会ってオレは何をしたらいいのだろうか。
その時、
「ニナさんはすぐに気付いていたのにな。」
イルカ先生の小さな呟きが耳に入って、オレの足を再び止めさせた。
「ハイ?」
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(ニナが何だって?)