めいん1
□雨上がり
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いつも、そうだった。
カカシは、いつもそう。
肝心な気持ちは、伝えてくれない。
言ってくれなかったよね。
毎日じゃなくていい
あなたがさみしくてしょうがないとき
ひとりきりじゃ耐えられない夜
寄り添ってほしいとき
私を愛してくれていたなら
心をひらいて ほしかった。
久しぶりに傍で見たカカシは
前とおんなじで
変わらない、どこか寂しげな目元で。
何も感じていないような綺麗な横顔。
本当は寂しがりだって、私は知ってる。
付き合うことになったのは
カカシがきっかけ、でも私から。
誰もいない上忍待機所、(人生色々)で。
ひとりでポツンとどこかを見つめながら座るカカシを見つけた。
いつもみたいに声をかけたら、カカシは無言で笑顔を向けてくれる。
カカシの笑い顔はいつも寂しそう。
誰かがその寂しさを、埋めてあげられたらいいのに。
もし、それが、できることならば、私だったら、いいのにな。
なんて。
そんな贅沢な考えをめぐらしながら、他愛ない会話をしてた。(といっても、私が一方的に話すばっかりだったんだけど。)
どんなに私が話しかけても、どんな話をしても、カカシは少ない返事でいつものように笑うだけ。
いつもそうだ。誰の前でも。
飲み会でだって、紅がアスマと付き合うことになったって報告の時も、誰かが昇進した時も、いつもいつもいつも。
外は、あんなにも、眩しくて輝いてるのに。
カカシのとこだけ、雨が降ってるみたいに。
会話がちょっと途切れた瞬間、椅子の背に寄りかかりながらぼーっと前を見る背中を丸めたカカシを見てたら、なんだか悲しくなって。
じわりじわり、最後には子供みたいに泣いてしまった。
どうして、誰もカカシを救ってあげないの?
こんなにカカシはひとりぼっちなのに。
突然、顔をぐしゃと歪めて泣き出した私を見て、カカシはさすがに驚いたみたいで。
オロオロと私の背中をそっと撫でた。
あったかくて優しい手。
カカシがちょっとその手を伸ばせば、きっと幸せがそこにあるのに。
教えてあげたくて、伝えたくて。
誰か、じゃなくて、私が。
『カカシ、これから、ずっと、一緒に、傍に、居てくれない、かなあ?』
ぐしゃぐしゃの泣き顔のまま、そうお願いした。
突然、告白してしまった。
カカシ、びっくりしただろうなあ。
いや、私もびっくりだよ。
私なんかじゃ、カカシをうんと幸せになんかできないかもしれない。
けど、今よりは、ううん、まあまあ、いや、ほんの少し幸せになら、できるかもしれないじゃない?
「ン、わかった。」
ちょっぴり嬉しそうに目尻を下げて、笑ってくれたように見えたのは、私の気のせいかな。
まさかOKしてくれるなんて思わなかったから、いや考えなしで行動しちゃったし、嬉しくてまた泣いてしまったっけ。
そんなバカな私が泣き止むまで、背中を撫でる手は止まらなかった。
うぬぼれてたのかな。
嬉しそうに笑ってくれた気がしたから。
耳元をほんのり赤らめて。
だから、きっと私がカカシを幸せにしてあげたい、ううん、絶対してやるんだって。
そう思ってたのに。
別れを切り出したのは私のほうだった。
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