めいん1

□いつもいつまでも
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みーつけた

隠れても

いつもみつけてくれた

どこにいても

どんなときも








いつもいつまでも










『また振られたの?』


上忍待機所、部屋のすみっこ、背中丸めて体育座りしてたらどこからともなくアキノが現れる。

いつもの流れ、いつもと同じ。


『今月は、何回目だっけ?』

「・・・3回目。」


ちょっぴりの涙目を隠すように顔を俯けて。

ぼそりぼそりとオレは言う。

惚れっぽい、そしてすぐに振られる。

そんな恋愛下手なオレを面倒見てくれるのはいつも、幼馴染のアキノだ。


『・・・今夜、カカシの驕りね。』

「あい。」


振られたその日は大抵、オレの驕りで飲みに行く。そして散々愚痴や泣き言をたっぷり朝まで聞いてもらうのだ。

ナンデなのかなー、なんでオレ、振られちゃうんだろ。

いつもうまくいかないんだよネ。

名前だけで寄ってくる人はたくさんいるのに。

離れていく人も同じ数だけいる。





『だからさ、いつも言うけど、』


居酒屋、お馴染みの場所でアキノが豪快にお酒を飲みながら管を巻く。

ギャップが酷いってどういう意味?

ヘタレってナニ?

毎回言われるその台詞に、ちっとも同意できないでいる。


「ハァー、もーいい!恋なんてもーしない!」


視界がじんわりしてきた所で、テーブルに体を預けていつもの台詞を吐き出す。


『まーた始まった!その台詞。毎回言うけど結局数日たったらさー。』


ケラケラ笑ってる彼女を恨めしい気持ちタップリで見つめる。


こんなしょーもないオレにずっと付き合ってくれてるのはアキノだけだもんなあ。

キツイ事いいつつも、ちゃんと最後まで聞いてくれるし。

でも恋人になった相手は、はじめは追いかけてきてくれるのに、しばらくしたら離れていくんだよなあ。

オレってダメなのかなー。


『駄目じゃないよ、カカシはいいとこいっぱいあるって。』


だから元気だしなよ、

珍しく優しい言葉をかけられて

ちょっと泣いてしまった。

わーっなさけない。




結局、朝までコース。

店を出ると遠くの山から朝日が覗いてる。

うー眼に染みる。


『ごちそーさま!』

「イエイエ。」


むーオレが振られたってのにその笑顔。

でも聞いてくれてスッキリした。

どーもありがと。


『ぷ、背中丸めすぎ。ほら、かえろ。』


仕方ないなあって言いながら、手を伸ばされた。

え?ナニナニ。

右手にあったかい感触。

アキノの手。


「チョット、なんで、」

『また振られたら、聞いてあげる。』


少し前を歩くアキノの優しい笑顔が眩しくて、思わず目線をうろつかせる。

ど、どーせ奢ってもらえるからデショ!と照れ隠し。


『ばれたか。』

「お、おみとーし。」


アハハと前を向いて笑ってる。

アレ、なんだこれ、ドキドキしてない?オレ。

これってもしかして・・・あばば。

ヤバイ、顔が燃える!

アキノの手って、こんなに、柔らかかったっけ・・・。


ひとり、ドギマギしながら、もう片方の手で口布をぐいーと引っ張りあげる。

振り向きませんように振り向きませんように・・・!!!




なんで今更 こんな気持ち。

そんなまさかと パニックになってるオレなんか気にもせずに

軽い足取りで前を進むオレの唯一の理解者。




今度のはうまくいくのかな



今度こそ。



不安な気持ちいっぱいで帰路につく。

もしアキノにまでフラレたら

もう二度と立ち直れないな



そんなこと考えながら



胸苦しくてため息ついたら

彼女が振り向いた。



ちょっとタンマ、待ってお願い

まだ赤いの治まってないから!




キョトンとしたアキノの手を

ぎゅっと握り締めて

ゴメンと謝る。



また、恋に落ちたみたい



あきれた?


涙目で 告げた。







END.

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