うらみち

□二回戦後のkiss
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その日は珍しく酒が進んだっけ。

気が付けばテーブルやら床やらに散乱するビールの空き缶。

日本酒の瓶は空になって倒れてる。

いつの間にやらテーブルに突っ伏してた体を起こすと、視界のはしに何かが入った。

フラフラの頭をなんとか持ち上げると体がぐらりと傾く。

支えようと右手に力をいれたらついでに柔らかいものを掴んだようで、手のひらにふにゃりとした弾力を感じた。


「ン・・・?」


物凄い遅い反応で気付く。

隣りで寝っ転がってるユイナに。




いつの間にか彼女の顔が目の前にあった。

そっか、確か彼女に誘われて居酒屋で飲んだ後ユイナが潰れちゃって・・・

玄関まで運んだら意識取り戻した彼女に今度はリビングへと引っ張られて。

結局ゴーインに二人だけの二次会の流れになったんだっけ。


まだ完全に酔いが回ってる頭でなんとかさっきまでの事を思い出す。

「てか、飲み過ぎ、でしょーヨ・・・。」

ぐるぐると視界が回る。

ハァとため息を付きながら手元を見たら、右手が彼女の胸の上だった。


どくん、と耳元で音がする。


柔らかい感触、

その瞬間に目の前のユイナがううん、と身じろぎをして。

その様子があまりにも、艶めかしくて。

酔っ払った脳内が吹っ飛んだ。


半開きの、これまた柔らかそうな唇に吸い込まれるみたいにして我を忘れて喰いつくと、はだけた忍服の胸元にそのまま手を差し込んだ。


あーヤバイ、柔らかい


手に吸い付く、しっとりした肌がまるでオレを誘うよう。


頭が真っ白になるってこーゆーコト。


ん、と彼女が苦しそうに眉根を寄せる。

まだ覚醒しない彼女をそのままに、手の中の程よい大きさのものを優しく、けど性急に揉みしだいた。

唇を離すと、ア、と普段より少し高めの声が漏れてきて、その声にオレの下半身がズキンと反応し出す。


ヤバイヤバイヤバイ、頭の中で何かが煩く鳴っている。

それを最大限の力で消し去る酒の力ってホント、コワイ。



アレ、いーんだっけ
こんなコトして。

いや、だめデショ。

アーもー、きもちー。
まーいっか・・・


だってコイツの唇、めっちゃやわらかいんだモン


角度を深めて貪るように舌を絡めると、やんわりと反応を返すまだ意識半分の彼女の服をめくり上げながら、そんなコトを考えてた。








あっ、あっ・・・はぁ・・っん

腰を打ち付けるたびに
部屋に響く艶かしい声

こんな声、初めて聞いた
こんな顔、初めて見た


エロ過ぎ・・・


頬は酒の力も手伝って赤く染まっていて、唇は半開きでさっきのような声を高らかにあげている。

まるで脳内麻薬だ、耳から入ってくるその音色に、ユイナの中のオレがぐんと硬さを増す。


(はぁ、ヤバ、、、もー出そう、)


気持ちよ過ぎてとろける

でももっと味わいたい

ケドばれたら殺される?

嫌われるかも

殺されてもいいケドそれだけはヤダ



(あーきもちい、もーどーでもいーや)



彼女の体の上で、動きを休める。

ハァハァと二人の吐息が混ざり合った。オレの額から落ちる汗が、ぽたりと彼女の肌に溶け込んでいく。

その瞬間、


あ・・・ん、カカシ・・・もっ、と、


彼女がぐいんと腰を動かした


見たことないような艶っぽい表情、視線の定まらない潤んだ瞳がこっちをぼんやりと向いてるのが見えて。


「え、あ、チョット、まっ、」


唐突に名前を呼ばれたせい。

腰を引いたケド、遅かった。


「う、んっ、あ・・・っっ、」


ドクン、と吐き出していた。









目が覚めたら、カーテンの隙間から朝日が差し込んでた。
顔に日が当たってゆっくりと目をあける。


(まぶし、、、)


アレ、ここどこだっけ
オレんちじゃないのは確か。

硬い床の上で寝てたようで、体がギシリと悲鳴をあげた。

視界の中でモゾリと何かが動く。


え、待って、ナンデ


自分の腕の中でユイナが、スヤスヤと寝息を立ててる。

あられもない姿で。

思わず声をあげそうになって、ケドなんとかとどめると、慌てて自分の体の違和感を確かめた。


ぎゃー!!!オレ、やっちゃった!?


殆ど脱げてる衣服、腰から下の倦怠感。


青ざめる。


サァーと血の気が引く音がして泣きそうになる。

ドーシヨー、あんまり覚えてない、、、や、なんかチョッピリ思い出した、イヤー!!


冷や汗がダラダラと溢れんばかりに流れてく。


ウソ、オレ、ユイナのコト、えっ、オレ、


混乱してまとまらない思考をなんとかしようとするけど、寝起きと二日酔いで全然まとまんない。


起きたら、怒られる、絶対怒られる、キラワレル、、、いや、コロサレルカモ


酔って寝潰れた彼女を襲ってしまうなんて


そんなコト、


まさか自分の身に起きるとは思わなかった出来事に脳が心臓が対処し切れない。


折角大事にしてきたのに
その関係ももう壊れてしまう
いや、自分が壊してしまった


予想だにしない早さでポロ、と涙が零れて
彼女のまぶたに落ちた。


あ、と思った瞬間、ゆっくりと瞼が開いた。



オレの引きつった泣き顔を見て、ユイナがぼんやりとした表情で発した言葉は



『、、、カカシ、なんで泣いてるの?』



だいじょうぶ?と目をこする彼女は、オレなんかの心配を口にする。

なんだか無性にそれが泣けてきて、尚更涙が溢れて止まらなかった。






―――――――


体が熱い、

密着した肌から伝わる熱がじんわりと溶けて思考力を0にする。

酔っていつの間にか寝てたはずなのに、なぜか今はカカシの下であられもない声をあげていた。

なんで、だっけ、わかん、ない、や、

もう、きもち、いいから、どうでも、いいや、


打ち付ける音があまりにもリアル過ぎて、思わず口のはしで笑う。


そしたら上にいたカカシが突然私の名前を呼んだ。

荒い息のまま、
動きは止めず、

切なそうな顔で、苦しそうに。

何度も、何度も。


きもちよさの中で、彼を見上げて、カカシもこんな顔するんだって思ったら

急に愛しくなって、


すき、カカシ


うわ言のように発したその言葉を聞いて、切なそうな声をあげながら、カカシも私の中で返事をした。

ぎゅう、強く抱きしめられて、汗ばんだ背に手を回す。


「オレ、も、」


耳元で荒い息と一緒にその低くて優しい声を聞きながら意識を手放した。





目が覚めたら
カカシが泣いてて

夢かな、と思ったけど

それでもいいやと

顔を近づけてキスをした。



この夢から覚めたら

カカシになんて言おうかな

やっぱりあれかな、

責任とって、かな。



おかしくって、笑った。





END.

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