めいん2
□音のない世界
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あなたの声しか
きこえない
ーー音のない世界
「アキノ」
『あれ、カカシ?任務終わったんだ』
長期任務から帰ってきたオレを、一番に迎えて欲しかったヒトはノンキそうにカワイイ顔で笑った。
おつかれーと背中をばんばん叩かれる。
アノネ、それ労ってる?
『珍しくチャクラ切らさず帰ってきたね』
「・・・別にいつもぶっ倒れてるワケじゃーナイんですが」
そうだっけ?とおかしそうに笑ってる。
この笑顔に早く会いたくて、アキノの声が聞きたくて、せめて帰り道だけは光の速さですっ飛んで来たのに。
この世で一番欲しいもの、それはあなた。
長いながい任務の間、枯れた世界はまるで音のない空間に閉じ込められたような感覚。
アキノがいないと何もかもが味気ない、白黒の世界。
背中を叩くそのオレより小さな手をがっしりと掴むと、キョトンとした顔が下からオレを見上げる。
「頑張ったご褒美、チョーダイヨ」
返事も待たずにその手を引いて、重ねた唇に熱が移るまで至近距離で見つめ合った。
「ごちそーサマ」
『・・・っっ!!』
口布を上げながら顔を離したら真っ赤な頬が目に飛び込む。
この世界にもし音がなかったら
きっとこの色を探してアキノを見つけるんだろうな。
オレだけが色付ける、その白い肌。
受付け所を離れた後、隣に並んで歩く彼女をチラリと盗み見た。
まだほんのり赤い顔を晒しながら、その頬は嬉しそうに笑ってた。
そんなカオしたらダメじゃないの。
「・・・オカワリしていい?」
恥ずかしそうにコッチを向いて、目を合わせたらすぐさま視線が下に流れる。伏せたマツゲがなんだか色っぽい。
『・・・カカシの部屋でなら、いいよ』
そのセリフはずるいって。
疲れも吹っ飛ぶ勢いで、手を繋いで走り出したオレを、後ろからアキノの微かな笑い声が追いかける。
音のない世界で、キミを探す
塞いだ手を優しく解いてくれるのは、アキノしかいない。
end.