めいん2
□ワスレナグサ(前編)
1ページ/12ページ
訳がわからない
なんなんだろう
夢なら早く覚めて欲しい
そう、思ってたけど――
『すみません、本当にわからないんです』
涙目で地面を見つめながらそう告げる。
この台詞、もう何度目だろう。
一週間。
一週間の出張の帰り、私はヘトヘトに疲れていて、全てを預けるように新幹線の座席に座り込んだ。
(あー・・・早く帰ってシャワー浴びて化粧もさっぱり落としてビール飲んでお気に入りの部屋着に着替えてベッドに沈みたい・・・)
先月買った抱き枕が凄く恋しい。
抱きしめたい、今すぐに、抱き付いて足でかにバサミしながら寝たい、熟睡したい。
そんな事考えてたらいつの間にまぶたが降りてきて、夢の中に突入していた。
それで目が覚めたら、どこにいたと思う?
知らない土地、わけわからない場所で倒れてて。
はじめは、あー夢なんだなと思った。
ノンキに林の中歩いてたら変な格好した男たちに囲まれて、刃物を突きつけられた。
頬にピッと痛みが走って、あれ、夢なのに痛いって感じた。
パニックになって逃げようとしたけどすぐに転んでしまって(だって舗装されてない道なき道をヒールのあるパンプスで走ったらそうなるよね)、男たちに逃げるのは怪しいって言われたのよ。
いや逃げるでしょ、誰だって。
拉致監禁なんて言葉が頭をぐるぐると駆け巡る。
そこからは質問攻めだった。
どこから来た?
―わかりません。
何者だ?
―ただのOLです。
OLって何?
―あなたたちこそなんなんですか?
「質問してるのコッチなんだケド」
ガタガタと震える体をなんとか抑えながら俯いてた顔を上げると、腕を組んで偉そうに立ってる銀色の髪の人物が目に入った。
もーわけがわからないよ・・・外国なの?でも言葉通じてるし。大体銀色って()
なんで皆そんなお面してるの。
ここどこなの、私、帰れるの?
混乱する頭とは間逆に表情は虚ろになってきて、めまいと共に意識が途切れた。
→