Kafka Novel
□コモン・センス
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会いたい時は現れないのに、
会いたくとも何ともない時に現れるカフカは、
まさに『天邪鬼(あまのじゃく)』そのものだった。
後方で鈴が鳴る音がした。
『まさか』と思って振り返ると、やはり、階段の踊り場にカフカがいた。
カフカは私に目もくれずに、壁に掛かっている写真を無心に見つめている。
「貴方、普通じゃないわ。」
私はそう叫んでいた。
「何が?」
カフカがゆっくりと私の方を顧(カエリ)みた。
カフカが何か行動する度(タビ)に、左の耳飾りの鈴がリンと可愛く鳴る。
「だって、碧眼(ヘキガン)なんだもの。」
『それで?』とでも言いたげな顔で、そう言った私をカフカが見つめている。
カフカの瞳が碧(アオ)いことは、私がいる廊下からでも確認出来た。
初めて見た時から、私はカフカの瞳が黒くない事が気にいらなかった。
「お前がそう言うのなら‥‥‥、普通でないといけない理由を五十文字以上で述べてみよ。」