短編
□敵意が憧れに変わる時
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『明日の生徒会の顔合わせなんだけど、書記の子が放課後無理なんだって。だから明日のお昼休みに昼食をとりながらって言うのはどうかな?』
「別にいいですけど……」
『そう、よかった。じゃあ明日お昼休みに中庭の庭園に集合』
「わかりました」
『じゃあ、遅くにごめんね。おやすみなさい』
「あっ……」
ふともれた言葉に、神宮先輩が「どうしたの?」と聞いてくる。
「あっ、いえ……なんで、ですか?」
『え?』
「顔合わせの時間なんて、会長なんだから僕達に確認なんかとらなくても勝手に決めればいいじゃないですか。だってそれくらいの権限、あるでしょ?」
神宮先輩の声を聞いて先程のイラつくが戻って来て、つい嫌味な言い方をしてしまった。
僕の言葉に、暫し沈黙が続く。
『……ね、崎原くん』
「はい?」
『今から学校においで』
「えっ、今から?」
驚くのも無理ない。だって今の時刻、夜の22時。
学校なんてとっくの昔に閉門してる。
なのに学校に来いなんて……。
『学校の裏門だよ。じゃあね』
「ちょっ、ちょっと待って下さいよ! いくら何でも今からなんて…… 」
そう返事を返すと、クスリと笑い声が聞こえた。
『生徒会長はそんな権限がある……でしょ? じゃあ、待ってるから』
「えっ、あっ、ちょっと待っ……」
言い返す前に、ガチャリという音と共に途絶えた通話。
僕は驚きと疑問に頭をグラグラさせながら受話器を見つめた――。