短編

□敵意が憧れに変わる時
6ページ/15ページ


 着替えを終えると、一階に降りてリビングのTVをつける。

 そしてキッチンに入り、棚からフライパンを出して火にかけた。


「今日はガーリックスパにしよ」


 今朝茹でた麺と、小さく切ったガーリックを一緒に炒めて、出来上がりを皿にもった。


「あ……そいや明日新生徒会の顔合わせだっけ」


 こんなの食べたら臭うかな……。


「……ま、いっか。後で牛乳飲も」


 皿とフォークを持ってソファーに寝転がる様に腰掛けた。


「ん〜、なんもやってないじゃんTV」


 パシパシとチャンネルを変えながら愚痴っていると、あるチャンネルで僕はとまる。

 そのチャンネルでは、古き良き日本なんてゆーダサいタイトルの番組をやっていた。

 一人のうるさそうな女レポーターが、江戸時代から続く舞の家系にインタビューをしている所だった。


「うそ……」


 僕はそのTVに映って光景に、手に持ったフォークを落としながら呟いた。


 画面には、漆黒の髪を揺らめかせながら淡い桃色の着物と、紅色の着物を纏った二人の女性が、優雅に舞を舞っている姿が映っていた。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ