短編

□敵意が憧れに変わる時
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 テストはいつも百点。

 スポーツは何でも出来るし、品行方正で教師の信頼もある。


 制服のネクタイをビシッとしめ、素行の悪い生徒とも付き合わない。

 そんな普通すぎる人生、楽しいと思う?

 思わないよね。


 でも……当時の僕にとって、それが当たり前だったんだ。










「では、今年度東葉学院高等部の生徒会長は神宮秋都さんに決定します」


 その日は僕の通う高等学校で、本年度の生徒会役員を決める総会があった。

 全校生徒を体育館に集めて行われるこの総会は、僕にとってある意味戦いの場でもあったんだ。


「やっぱ神宮兄かぁ」

「ま、当たり前だよね。王子の支持率、ほぼ学校全体だもん。先生も加わってるっていうし」


 アナウンスが流れたと同時に、僕の横にいた円と武が二人でボヤイた。

 当の僕はと言うと、初めて参戦したこの生徒会会長選挙で負けた事が悔しくて、唇を噛み締めて壇上に立つ新生徒会長を睨み付けていた。

 
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