列伝

□堕天使のオルゴール
4ページ/7ページ


 何だろう…なにか聴こえる…

 大きな音…。これは…目覚まし?

 聴きなれた音に、そっと目を開くと、視界に移ったのは、太陽の光が差し込む大きな出窓と、淡いブルーのシーツのかけられた、きちんと整頓されたベッド。

 みなれた部屋。過ごし慣れた、私の部屋。

 一瞬何が起こったかわからず、立ち竦んでいたけれど、部屋の外から聴こえて来た人の声に、思考を現実へと引き戻された。

 声の主が誰か知っている。


「……」


 私はうんざりとした気分で、部屋の扉を開き、階下へと歩みを進める。

 丁度階段を降りきり、リビングの方へ視線を向けた時、僕は驚愕でその場に固まったように立ち止まった。

 だってそこには、廊下からリビングを伺う、もう一人の私がいたから。

 何、あれ……。何で私があんなところにいるの?

 ドクドクと心臓が高鳴って、うるさい。頭の中がぐるぐる回って気持ち悪い。

 身体中がブルブルと震えて、立っていられない。僕は掌で口元を押さえ。その場に跪いた。

 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ