列伝
□堕天使のオルゴール
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何だろう…なにか聴こえる…
大きな音…。これは…目覚まし?
聴きなれた音に、そっと目を開くと、視界に移ったのは、太陽の光が差し込む大きな出窓と、淡いブルーのシーツのかけられた、きちんと整頓されたベッド。
みなれた部屋。過ごし慣れた、私の部屋。
一瞬何が起こったかわからず、立ち竦んでいたけれど、部屋の外から聴こえて来た人の声に、思考を現実へと引き戻された。
声の主が誰か知っている。
「……」
私はうんざりとした気分で、部屋の扉を開き、階下へと歩みを進める。
丁度階段を降りきり、リビングの方へ視線を向けた時、僕は驚愕でその場に固まったように立ち止まった。
だってそこには、廊下からリビングを伺う、もう一人の私がいたから。
何、あれ……。何で私があんなところにいるの?
ドクドクと心臓が高鳴って、うるさい。頭の中がぐるぐる回って気持ち悪い。
身体中がブルブルと震えて、立っていられない。僕は掌で口元を押さえ。その場に跪いた。