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□あなたの一番
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その後ろ姿が私を置いていって悪いなぁ、という感じと早くあの子の元へ行きたいという気持ちを表しているようで。
辛くて目を背けたいのに心のどこかで自分のことを思ってくれているという自己満足を感じている自分に気付いて自己嫌悪を催した。



「気持ち…悪いなぁ」

なのはちゃんの気配が去り、完全に1人になった隊長室でめまいを覚えて机に手をかけうつむいた。



−かなわん…ほんま「かなわん」わ−



どれだけ思っても、あなたの一番に私はなれない。
一番になれないこともイヤやけど、何よりイヤなんは……こんな感情抱えている自分自身で。
この自己嫌悪を誰かに受け止めて欲しかった。


誰か。


こんな私を一番思ってくれるような。


そしてまた自己嫌悪を抱く。
無限ループ。
抜け出せない、それでもあの子のそばにいたい。
止めようがなかった。



「はやて……?」

思考が堂々巡りをし始めたとき、突然声をかけられて現実に引き戻された。


「はやて…! ……体調、悪いのか…!?」


机についていた私の手に、一回り小さい掌が置かれ、背中にもう一方の掌が回される。
揺らぐ視界を巡らせてみればそこにはヴィータの姿。
心配そうに私を見る目は心の底から私を思う瞳で。
気付くとヴィータの優しさにすがりつくように身が傾いで、ヴィータを押し倒すように倒れた。


「はや…て……」

隊長室の床にもろともに倒れて、即座に襲った自己嫌悪に黙って顔を背けていると、ヴィータが口を開いた。


−何をやってるんや、私は−


「……ごめんなぁ、調子悪かったんかな……あはは」

今なら、具合が悪くて倒れてしまった、ということで片づけられる。戻ることができる。
そんな気持ちをなくさせたのは

「無理、すんな」

ヴィータの声と、私の首に回された小さな腕だった。

この優しさに甘えてはいけない。
頭の中で警鐘がうるさいくらいに鳴っている、なのに。

「ヴィータ…ヴィータ……!」

意志に反して出てきたのはすがるような声で。
強引にその細い肩を抱きすくめると、応えるように私に回された腕に力がこもり、私は自分の中からあふれる衝動を押さえることができなかった。


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