Strike Witches SS
□空も飛べるはず
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初めて、というのが誰にでもあって。
今はエースだ黒い悪魔だと言われる私だけど、初めて空を飛んだ日は散々だった。
初めて飛んだとき、私は2番機として飛んだ。
1番機はゲルトルート・バルクホルン−トゥルーデはすでにエースの頭角を現し始めた頃だった。
「今日は、私の2番機として飛んでもらう。よろしく頼む、ハルトマン」
そう言って手を出す仕草、ぱりっとした軍服が周りのカールスラント軍の駐留地とよく合っていて、この人は根っからの軍人のようだ、というのが私のトゥルーデに対する最初の印象だった。
「よろしくお願いします」
今となっては階級の別なく「トゥルーデ」「フラウ」なんて呼んでいるのだから、今、このときのやりとりを思い出すとあっはっは、と笑い飛ばしたい気持ちに駆られる。
それは置いといて。
私は実際、自分の1番機が誰であろうと関係なかった。
―敵を、倒すんだ。
唯一残った家族、ウーシュを守るために―
この気持ちだけが、私の心を占めていた。
「ゲルトルート・バルクホルン、出るぞ」
その言葉にはっと意識を戻した。
大丈夫、訓練ではうまく飛べていた。できる。やるんだ。
「エーリカ・ハルトマン、出ます」
私はトゥルーデに続き、轟音を響かせ、空へとあがった。