Strike Witches SS
□夢じゃない
1ページ/3ページ
勢い込んで病室にはいった私は、ドアのあたりでつまづいた。
「ここは病室ですよ」
という看護師の言葉に一言詫びを入れると、
すぐに先日訪れたときに見たベッドの方に目をやろう、として俯いた。
―戦場では撃墜数250越えのこの私が、何たる様だ…―
足が震えて、一歩を踏み出すことが出来ない。
ひらひら、と後ろでハルトマンが私の目指す先に手を振っている気配がして、ゆるゆると目線をあげると、
そこには上半身を起こしてこちらを見てほほえむ姿があった。
「クリ……」
―今すぐ駆け寄って、抱きしめたい―
だけど、と思い直す。
私はおまえを守れなかった。
そんな私がおまえに触れる資格なんてあるんだろうか……。
考え込み、自然とうなだれた。
静寂が、病室を包む。
_