短編

□世界に射すは仄暗き光
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※執筆者が鈴木の過去シナリオをまだ見ていないので軽く捏造。


※また鈴木がトラウマによりふとしたことでパニックを引き起こす話です。若干痛々しい表現がありますのでご注意ください。


最初はちょっとした悪戯心だった。反抗的な奴を見ると躾たくなるのは俺の性格上どうしても止められなくて。

「や…っやめてくれ、よ…俺はもう、こんな…やだ…嫌だ…!!」

組み敷いた鈴木は整えられたシーツを乱し、泣きわめきもはや容易には手に負えない状態だ。今の彼には周囲が全く見えてないのか暴れ方には容赦がない。かわしきれず頬に掠めた指先によってチリリと小さな痛みが走ったかと思えば温いそれがそのまま顎まで伝ってシーツを赤く汚した。最初はちょっとした悪戯心だった。鈴木をベッドに押し倒していつものように虐めてやろうと考えていただけだった。それなのに何故、このような事態に。とりあえず両腕を押さえ付けてその刹那、鈴木の震える微かな唇の動き。

「とうさん」

そして押さえ付けていた両腕を離し、そのまま強く彼を抱きしめる。その間も腕の中で彼は止まらない。背中を掻きむしり、肩口に噛み付き、ただ泣き叫ぶ。まるで子供だ。いや、子供よりも酷いかもしれない。俺はより一層強く鈴木を抱きしめて耳元で囁いた。

「鈴木、お前はもう俺のモノだ…他の誰にも触れさせやしない」
「っ…ご、主人…様…?」
「例え、お前の義理の父親であっても…絶対に…指一本、な」

目を赤く腫らした鈴木が自分を見上げる。そして何か言おうと唇を動かしたがその先の言葉は俺が全て飲み込んだ。

(さて、その仄暗き光が射し示す未来は果たして興隆か退廃か)

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