短編

□Morning
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「ん………っ朝、か…」

カーテンの隙間から射す薄明かり、どうやらまだ起床には少し早い。もう一眠りしようと寝返りを打った途端に視界に飛び込んできた寝顔に思いがけず声をあげそうになるが寸出のところで口を塞ぐ手の方が早かったようだ。一息ついて布団の中を覗いてみればまるで当然のように自分も相手も裸なわけで。そういえばと昨夜の出来事を思い返せば思い返すほどに顔が熱くなってくるものだからオレは慌ててその全てを振り払った。

「………っんー……ぁ、れ…ニール…起きるにはまだ早くない?」
「っ…は、早ぇよ、だから今からもう一眠りするとこ…っだ?!」

ぐいと腕を引かれ、そのまま額に触れる柔らかい感触。抗議する間も与えられないままにオレの身体はロッドの腕の中。

「もう春も近いはずなのにさ…ほんと朝方って冷えるよね」
「そりゃあオレたち裸、だ…し」
「ふふ、自分で言って照れちゃうとことかニールって可愛いよね」
「っ………ばか、可愛いとか」
「ほんとに可愛いよ。それに何でだろう、すっごくあったかい」

そう言いながらロッドはオレの髪に鼻を埋め、小さく笑う。どうせ子供体温だと自嘲すればそこがまたいいのだと。数刻もしない間に聞こえてきた寝息にあと2時間はこのままかと諦めればすぐにまどろみは伝染した。きっと幸せに形を求めるのならこんなものなのだ。オレはロッドの首筋に擦り寄って瞼を閉じる。

「…あったかい、な」

そして寝坊したオレたちが広場にて開店を待っていたリオに怒られるのはこの3時間後のことである。

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