Honey*Rabbit
□−8℃
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視点:徳川カズヤ
『寒い……っ』
俺の隣にいる一葉は、寒さで小さく身体を縮こませながら呟いた。
「そうだな」
白い息を吐きながら俺はそう答えた。
今日の気温は、昨日より8度も低いのであり、12月上旬並みの冷え込みだ。
しかも朝となればその寒さも別格だろう。
『でもそう言うわりには徳川さん、あんまり寒そうな顔してませんよ?』
一葉は自分で自分を抱きしめるようにして俺に聞いた。
いや、これでも結構寒いと思っているのだが、表情には出てなかったらしい。
『む、そうだ……!見てください、徳川さんっ』
すると一葉は何かを閃いたのか、自分のジャージのチャックに手をかけ、そのままに上に上げた。
『徳川さんとお揃いです』
「っ……」
どうして一葉は無意識にそういうことをするのだろうか。
一葉は俺に向かって目を細めて嬉しそうに微笑んだ。
その笑みに、俺の胸が高鳴った。